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アレコレつまみぐい国語-古典文法マスターへの道③-

2015年03月18日

「に」の識別 

「に」も色々な種類があります。特に迷うのは接続が被る②④⑤だと思いますが、きちんと見極めて判断できるようにしましょう。

 

 ①完了「ぬ」の連用形

連用形+「に」+連用形接続の助動詞

助動詞「ぬ」は活用がナ行変格活用と形が一緒なので連用形は「に」になります。

助動詞の連用形が文末にくることは出来ないので、必ず連用形接続の助動詞が下に付いていることになります。

「に」の下に来る助動詞は、完了と近い意味を持つ「けり」(過去)・「たり」(完了)・「けむ」(過去推量)です。

(例) 時世経て久しくなりにければ、その人の名忘れにけり

訳: 時間が経って昔のことになってしまったので、その人の名は忘れてしまったなあ。

「にけり」「にたり」「にけむ」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形です。

 

 

 ②断定の助動詞「なり」の連用形

連体形・体言・助詞+「に」+(や・か)+(あり・はべり・おはす・おはします・候ふ)

この形を取っている「に」は、断定の助動詞「なり」の連体形です。

一番の判断ポイントは、訳した時に「に」の部分が「~で(ある)」と訳せるということです。

(例) 伝へて聞き、学びて知るは、まことの智にあらず。

訳: 人から伝え聞いて、書物で知ったような知識は、真の知識ではないのだ。

 

 

 ③形容動詞の連用形の活用語尾

物の性質・状態を表すことば(~げ・~やか・~らか・あはれ)+「に」

(例)化粧したらば、清げにはありぬべし。

訳:化粧をしたならば、きっと美しいに違いない。

形容動詞は「なり」の前に「~げ」・「~やか」・「~らか」がつくことが多いです。(例外もたくさんありますが…)。よく出てくる「あはれなり」は必ず覚えておきましょう。

 

 

 ④格助詞「に」

連体形・体言+「に」

この形を取るものは格助詞という種類の助詞の一つの「に」です。格助詞とは、上にある体言に主語や名詞の修飾をする資格を与える役割があります。連体形が来ている場合は、省略されている体言を補ってあげる必要があります。

ここで、②で紹介した断定の助動詞「なり」の連用形を見てみましょう。どちらも「連体形・体言」が上に来るというポイントが被ってしまっています。

よって、格助詞「に」の場合は訳した時にそのまま「に」と訳せるという判断をして見極めましょう。

(例) かくて都にあるならば、また憂き目をも見む。

訳:このようにして都にいるならば、またつらい目にもあうだろう。

②と同様、下に「あり」「はべり」「おはします」などが来る場合もあるので、きちんと訳して判断しましょう。

 

 

⑤接続助詞の「に」

連体形+「に」、…

さらなる曲者が、この接続助詞の「に」です。

にの下に「、」がついてる、もしくは「~と、~が、~ので」と訳せれば、接続助詞です。

(例) 梅は咲きたるに、うぐひすは鳴かず。

梅は咲いているが、うぐいすは鳴かない。

 

 

 ⑥副詞の語尾「に」

形容動詞と混同してしまうことが多いですが、単語帳で頻出の副詞は覚えてしまいましょう。

(例) いかにのたまはするにか、

訳:どうしてこのようにおっしゃるのだろうか、

 

 

⑦ナ行変格活用・ナ行上一段活用の動詞の一部の「に」

死ぬ・往ぬ・去ぬのナ行変格活用、そして似る・煮るのナ行上一段活用の連用形の活用語尾の「に」も、①の「に」と混合しない様、品詞分解をしっかりできるようにしましょう。

(例) 僧の寺のあたりに住めるが、死にけり。

訳:僧で寺の周りに住んでいる者が、死んだ。