高校数学の落とし穴(基礎編)第5回
2015年8月21日

高校生がよくやってしまうNG解法と、正しい解法(または効率の良い解法)を紹介していきます。
★★☆ 《レベル2》
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問 整数xが不等式 x/2 + a < 3-x < 4x +1 を満たす解がちょうど3個と
なるように、定数aの値の範囲を定めよ。
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<解答または解答方針>
【NG1】:のろちゃん
x/2 +a < 3-x から x < (6-2a)/3 ・・・①
3-x < 4x +1 から 2/5 < x ・・・②
②式で x が 2/5 より大きいといっているから、①式の (6-2a)/3 が 4 より小さければいいような気がする。
(6-2a)/3 < 4 から -3 < a が答え?
【NG2】:こたろう君
まず(与式)⇔(①式かつ②式)だから
2/5 < x < (6-2a)/3 ・・・③
を得る。この③式で整数解が3個存在するようにするためには、右側部分の (6-2a)/3 が 3 ~ 4 の範囲にあればよい。
したがって、3 < (6-2a)/3 < 4 を解けば良い?
【ベストアンサー】:もんじゅ先生
(6-2a)/3 が 3 と 4 の間にあるという見方が少々あいまい。注目すべきは、③式の右側の記号は「≦」ではなく「<」であること。キーワードとして「≦」が「含む」、「<」が「含まない」であることの違いをしっかり認識することになる。
(6-2a)/3 = 4 のとき、③式では
2/5 < x < 4
となり、4 が含まれない(整数解が3個存在する)。
したがって求めるものは、
3 < (6-2a)/3 ≦ 4 ・・・④
⇔ -3 ≦ a < -3/2 《答》
>>> 一言アドバイス <<<
③式の整数解が3個存在するために、④式の右側の記号に「=」は要らないと勘違いしやすい。④式は、③式の状態(「≦」「<」のどちらを使っているか)とセットで考えていかなければなりません。
仮に、③式が 2/5 < x ≦ (6-2a)/3 であれば、
④式にあたる式は 3 ≦ (6-2a)/3 < 4 でなければなりません。