先週の問題↓
《問題》
例文の傍線部の敬語の用法と同じものを、以下の選択肢の傍線部から選べ。
<例文>帝、御衣を脱ぎてたまふ。
イ:人目も包まず泣きたまふ。
ロ:舎人などたまはる際はゆゆし。
ハ:いみじう感ぜさせ給ひて、禄たまふ。
《解説》
例文の「たまふ」の用法を見てみましょう。
<例文>帝、御衣を脱ぎてたまふ。
前回の問題に引き続き、敬語「給ふ」にまつわる問題ですが
「給ふ」は本動詞と補助動詞の2種類の用法があります。
用法の見分け方は、「給ふ」の前に動詞の連用形が来ているかどうかですが
この場合、「脱ぎて」は「脱ぐ」という動詞と「て」という接続助詞がついたものなので
これは単独で成立している本動詞の「給ふ」ということがわかります。
では、選択肢のイを見てみましょう。
イ:人目も包まず泣きたまふ。
「たまふ」の前に「泣く」という動詞の連用形がきているので、
これは補助的に尊敬の意味を添える補助動詞の役割をしています。
訳すときは「お泣きになる」「泣きなさる」となります。
よって、例文の用法にはあてはまりません。
次はロを見てみましょう。
ロ:舎人などたまはる際はゆゆし。
この場合、「たまは」ということは給ふの未然形と考えることができますが
その後ろの「る」に注目してください。
動詞にくっついているということは助動詞の可能性もありますが
未然形接続で「る」という形をとる助動詞は存在しません。
実はこれは「たまはる」という一つの敬語です。謙譲語で、「いただく」という意味を持ちます。
よって、これも例文の用法には当てはまりません。
では最後の選択肢はどうでしょうか。
また来週に続きます。
