受験英語教えて110番 No.102「仮定法と形容詞節の時制」
2017年2月6日

Q.① The young man who had common sense, he could understand that. ② A young man who has common sense, he could understand that.
①も②も仮定法だと思うのですが、①はhad、②はhasとなっていますが、これはどちらを使っても良いということなのでしょうか。
A. ①と②では表す意味が違っていると考えた方がいいと思います。まず①ですが、意味は「もしその若者に常識があるなら、そのことは理解できるのに」となって“その若者には常識がない”ということが前提で関係代名詞節(who ~)が条件節(If the young man had common sense)の働きをした仮定法ということです。しかし②の意味は「常識のある若者であれば、それは理解できるだろう」という意味であって、現実問題として常識のある若者もいるわけですから、決して事実と反する仮定を言っていることにはなりません。ですからhasという現在形で表しています。そうであれば主節のcouldは何を表しているのかということになりますが、これは意味からして仮定法ではなく「弱い推量」と考えた方がいいでしょう。couldには「推量」の意味もありますので、一度、辞書でチェックしてみてください。
このように文中に形容詞節を含む場合には、その節が事実に反する仮定を述べていれば過去形(過去完了形)で、また単に事実について述べているのであれば直接法としてその節中の動詞の時制を決めていくことになります。たとえば次のような場合です。
Ex.1 If I were God, I couldn’t establish the world ( which had no nuclear weapons ).
「もし私が神であっても、核兵器の無い世界はつくれないだろう」
Ex.2 If I had more money, I would buy the car ( you recommend ).
「もしもっとお金があったら、あなたが勧める車を買うのに」
Ex.1のwhich had no nuclear weaponsは事実に反する仮定ですからhadという過去形で表しているのに対して、Ex.2のyou recommendは現実に今も「勧めている」という状況がありうるので現在形で表わしていることになります。当然例外はあるにしても、このことはあくまでも基本として頭に入れて置いてください。