アレコレつまみ食い国語‐単語の意味を推測しよう!⑧<解説編 後編>‐
2016年9月21日

《解説》‐先週の続き‐
『月日経て、若宮(宮中に)参り 給ひぬ。』
今週は、「給ひ」の部分を考えていきましょう。
敬語の「給ふ」には複数の用法を持っています。
①本動詞の「給ふ」
尊敬語で「お与えになる」という意味を持っています。
②補助動詞の「給ふ」
用言(動詞・形容詞・形容動詞)の連用形につき、補助的に敬意を添える役割があり
尊敬語(お~なる・~なさる)と謙譲語(~申し上げる)
の2種類あります。
この文章の「給ふ」は①②のどちらでしょうか。
「参り給ひぬ」
見てみると、「給ひ」の前が「参り」という尊敬語「参る」の連用形がきているので
この「給ひ」は補助動詞ということがわかります。
では、尊敬か謙譲か、見分けるためにはどうすればよいのか。
大きな違いの1つが、「活用」です。
尊敬の補助動詞の「給ふ」・・・四段活用
給|は|ひ|ふ|ふ|へ|へ
謙譲の補助動詞の「給ふ」・・・下二段活用
給|へ|へ|〇|ふる|ふれ|〇
よって、「給ひ」の形をとっているということは、四段活用の尊敬の「給ふ」の連用形とわかります。
それでは、敬意の方向を考えましょう。
尊敬ということは主語を高めるので、「給ひ」の敬意の方向は
作者から 若宮へ
ということがわかります。
いろんな知識を揃えて、初めてきちんとした読解ができます。
文法をおろそかにしないようにしましょう。